Zenesis Miniレビュー

Zenesis Miniは北米(どころか)世界的に大人気のGenesis形式のPV(パーソナルベーパライザー)です。どんだけ人気なのか言いますと、Zen氏がECFの正式サプライヤーになってからのスレッドの伸びは現在5900ページを超えていて、1ページあたりのメッセージ数が10ですので1年半で6万件近い書き込みがあるほど。注文の方は恐らく1日にして数十本も出ていないと思われますが、Zen本人によれば、受注のウェイティングリストには毎日10-20人が追加されていっているとのことでした。
つまり供給がまったく間に合っていない状況なのですが、他のGenesisのPVと比較してなぜここまで需要が高いのかが不思議ですね。確かに似ているように見えてZenesisの設計は他のPVとやや異なる点があり、ものすごい時間を掛けたエアフロー設計には相当の自信があるようです。
では、内容を見ていきたいと思います。
PV自体の評価にはつながらないのですが、一般製品に近い形で販売されているZenesisには購入時にキットとして次のものが含まれています。
・ポーチ(本体+アクセサリー)
・Oxidized済ステンレスメッシュ#400-6本、#325-6本
・kanthalワイヤー 数メートル
・シリンジ
ものすごく特殊なものではないのですが、合計12本のメッシュとワイヤーがすぐに使えるように付属していて、さらにリキッドを考えて#400と#325がきちんと用意されているあたりはありがたいです。また本体にも1本のメッシュがすでにワイヤーのセットアップ済みとなっているため、届いてすぐにリキッドを入れて吸い始めることができます。


■構造
Zenesis製品は大きくアトマイザーだけのZ-attyシリーズと、バッテリーチューブを持つStandard/Miniに分かれています。通常はZenesisと言えばバッテリーチューブを持つPVを指します。この理由はそもそもZenesisの設計思想に壊れにくいことというのが含まれていて、取り外しをするたびに何かが故障する可能性のあるアトマイザーではなくPVとして設計したものということです。まぁ今ではアトマイザーだけのZ-Attyも存在するのでアレですけどね。
Zenesis Miniは18350バッテリーを使用するメカニカルチューブ、兄弟のStandardは18650バッテリー使用になっています。Kickを使いたければ18650なのですが、本体サイズが他のPVよりもやや大きいこともあって今回Miniを購入しました。今考考えると18650もありだったのかなーとは思いますが、なんせ本体が長いので、立てたときも安定性も考慮してMiniでよかったとします。
スイッチはボトム方式ですがマグネットが使用されています。そもそもZenesisのスイッチにはロック機能がないので持ち歩くことは想定されていないのですが、立てた時に誤って通電しないように磁石の反発を利用して力を入れないとスイッチが接触しないようになっています。
ややマグネットの力が強いためスイッチを押す力はそれなりに必要ですが、小指が疲れてしまって無理というようなレベルではもちろんありませんが、小指の第一関節ではなく第二関節を使って押し込む方がしっくりきました。



ドリップチップは付属しませんが510用の穴がキャップに開けられていますので、ここに好きなものを入れて楽しみます。残念ながら手持ちのドリップチップうちいくつかはT-Tipsを含めて狭すぎてはめられませんでした。
またキャップには1mm程度のエアフロー用の穴が開けられていますが、キャップ自体がスクリューではなくオーリングではまっていますので、好きな位置にエアフローの穴を向けることができるように設計されています。
最初に使用したときにはエアフローが軽すぎると感じるほどゆるめになっているのですが、そもそもZenesisはそれが狙いで設計されています。これが他のPVと大きくことなる点です。



Zenesis最大の特徴はこのアトマイザーのマッシュルーム型のセンターピンにあります。ワイヤー処理を考えればスクリューの大きさとポールの太さを合わせるべきですが、フタにあたるスクリューを大きくしているのは、キャップとの隙間を細く一定に保つ役割を担っているからです。
キャップをしめたときの空気の通りは、スクリューの外周から約1.5mmほどに保たれていて、メッシュのやや左右にエアホールがきたときに、キャップ内で煙が回って、このキャップとの隙間から上に吸い込まれていくという設計になっています。
この煙のフローによる利点はKanthalワイヤーによって1000度近くまで熱せられたリキッドがややクールダウンして味からイガミが消えること、そしてリキッド本来のフレーバーが活かされることです。その反面、犠牲となるものが煙の温度がやや低くなること、煙量が少ないことはないですが期待よりは少ないこと、そしてなんといってもエアフローが軽いことです。
Zenによれば、他のPVからZenesisに移ったときによくある話として、誰でも最初は強く吸い過ぎることにあるそうで、一度Zenに合わせたゆっくりとした吸い方を身につければリキッドの素晴らしさも、そもそもニコチン摂氏の量も多くなるこのことで、多くの人がそれまでのニコチン量を半分くらいにカットする結果を生んでいるのだそうです。
素晴らしい設計ですね、その通りなら。結果はまとめで。
■サイズ比較
本体のサイズはMiniとはいえ11.5cmと結構大きく、NGPの18650との比較で1.5cmしかありません。当然比較してみたくなるのはOrion V2ですが、同じ18350モードでご覧の通りです。キャップ構造やタンク容量で少しづつ長くなっていますが、メカニカルなボトムスイッチも長さの要因になっています。


アトマイザー部分はすでに説明済みのマッシュルーム型のセンターポールに対してリキッド注ぎ口とメッシュのための2つの穴が開けられています。メッシュ側の穴にはステンレスメッシュがショートしないようにシリコンチューブがはめられているため、中を通せるメッシュの太さは数あるGenesisの中でもかなり細く、セットアップ時には多少苦労する可能性があります。


■まとめ
Zenesisをけなすような気はまったくないのですが、今時のGenesisの流れから最大のネックはメッシュの細さにあると思います。すでに本体にセットアップされていたメッシュを使ったときも、自分でいつものようにファイバーを中に仕込んだときにも、やはりもう少しだけ太いメッシュを使えたらという気持ちがあります。
ソフトに吸うことを強いられること自体は人それぞれなのでよいとして、私にはやはり軽すぎました。確かにややゆっくりとソフトに吸うことで煙量もそこそこになりますが、設計通りであれば本来スロートヒット(TH)が強くなってニコチン量を減らせると思うのですが、勉強不足のせいか私には返ってTHも煙量も軽く、単に満足度が減ってしまっているように感じました。THが重たいというよりは、煙量の少なさとソフトに吸うために通電時間が長くなることでややドライなTHになります。メッシュの太さをもう少しだけ太くできれば解決できる問題なのだと強く思います。
ちなみにオプションとしてOpen DrawとStif Drawという2種類のキャップが存在していて、Zenesis本体を購入したときにはOpen Drawが付属しています。Stif Drawが発売された経緯は、この満足度の問題やマジョリティとしてもう少し強く吸いたいという要望があるわけですが、ステンレスメッシュの小片を丸めてキャップのエアホールに詰めて試してみたところ、確かにドローがきつくなってくれるのですが煙量やTHに影響が出てくれるほどの変化ではありませんでした。
やはり、シリコンチューブを外してでも太いメッシュを差し込めるようにする方が全体的な満足度が上がるような気がします。
最後に、スイッチのロックが掛からないことがポケットフレンドリーにつながらないことを説明しましたが、キャップ自体が乗っかっているオーリングが実はゆるゆるでして、指一本で簡単にキャップが外れてしまいます。この部分にもう少し太いオーリングを使うなどの工夫がないと、いつまで経ってもZenesisをポケットに入れて歩ける日は来ないような気がします。
よいと思ったところ
・ステンレスの質感が高い
・メカニカルために故障がない
・独自エアフローで設計通りなら美味しい
・ハイブリッドなのでチューブが必要ない
・付属品が豊富
・エアホールの位置調整が簡単
いまいちと思ったところ
・メッシュ差し込み穴のステンレスチューブが邪魔で太いものが入らない
・エアフローがびっくりするほど軽い
・キャップの締まりが悪い
・スイッチが重たくミスファイアもある
・スイッチはがロックできない
・満足のいくセットアップには試行錯誤が伴う


購入先:House of Hybrids