Zmax VV/VWバッテリーMOD

『Zmax』はSmoketechの開発したVV/VW(可変電圧/電力)を可能とするバッテリーMODです。先日のPWMに関する記事の後としては非常にタイムリーなネタにはなりますが、VV/VWともにPWM回路を使った電圧可変により好みの電圧、電力を発生させることができる(とされる)MODです。
■基本構造など
ZmaxはVmaxの親戚に近い、あるいは後継という位置づけの製品ですが、なんと言ってもその特徴は可変電圧(Variable Voltage)だけでなく、Darwin/Kickでしか提供されてこなかった可変電力(Variable Wattage)、つまり電力を指定することで電圧を自動的に調整する機能の提供です。ほぼEvolvapor社の独占市場だったところに加えて、VV/VWという両方の設定を持つ製品はロシアのSvoeMesto以来2つ目の製品になりますが可変電力をPWMで実現しているのは、唯一このZmaxだけになると思われます。

見た目には明らかにProVariを意識しているような作りですが、寸法は123mm x 21mmとやや18xxx系のバッテリーMODにしては細身になっています。逆に長さはLavatubeとほぼ同じでProVariをやや上回ります。重量は89gでProVariより10g程度軽いのですが、重量感は非常に高級感のある存在です。
使用するバッテリーはVmaxと同様に18350の2本スタックに加えて18650を1本のみでも動作するようになりました。また18350はニップルのないフラットなもののみ、さらに別売りのエクステンションを使用しないとならないため、基本的には18650で使用する前提だと考えてよいかと思います。


また本体にはガス抜きのスロットが設けられていますが、これは今のところMadvapesで販売されているZmaxのみ(写真右側)に適用されていて、今後他の販売店でも同様にスロットが設けられるのかは不明です。左側のものが通常のZmaxです。


アトマイザー接続部は510に加えてeGoスカート用の切れ込みがあるため、StardustなどのeGo製品をそのまま装着することが可能です。


■設定
設定はProVariやVmaxと同様にボタン一つで行います。詳しい説明はここでは避けますが、ProVariに近い機能にVV/VWの設定項目が追加されているイメージです。ボタンクリック4回で以下のメニュー項目を表示させることができます。
メニュー1: VV/VWの上昇
メニュー2: VV/VWの下降
メニュー3: 主電源ON/OFF
メニュー4: バッテリー残量
メニュー5: 通電時表示切替(バッテリー残量/抵抗値/VV/VW設定値)
メニュー6: 通電時LCD ON/OFF
メニュー7: VV/VW切替

操作自体に迷うことはなくブルーのLCDは綺麗なのですが、やや表示が大きすぎるため通電時にはオフにしておきたいとは個人的に思いました。
■VV/VW機能

まずはこのグラフを見てください。これまでの計測方法であればPWMにおけるVavgのみを計測電圧としてしようしていたため、結果としては3.0Ωのカトマイザーで設定電圧に近い結果を出していて、デュアルコイルの1.5ΩとBoge 2.0Ωでは5V付近でカットオフが出ているという読み方になります。つまり、Vmaxと同様にほぼ設定に通りのパフォーマンスを見せていると考えて来ました。
次にRMSを使った実効電圧をグラフにします。




薄く表示されているVavgに加えてRMSによって計算される実行値が上回っているのがおわかりでしょうか。つまり3.0V設定をしても実効電圧として4.5V以上が発生してしまっています。ただし6.0V設定へ向かうに従ってその差が縮まり、最終的には差がなくなっています。これは電圧が低ければDuty Cycleも低いことを意味していて、高い電圧を出力するときにはDuty Cycleが100%に近くなっているためです。
さらにまずいのは、スタックバッテリーを使用した場合は直列によりピーク電圧がシングル使用時よりもさらに上がってしまうため、Duty Cycleをさらに下げることで設定電圧を導こうとします。この結果RMS実効電圧はさらに上がってしまうこと、さらに5.5V以上でもDuty Cycleを使用することで実効電圧は7Vを遙かに上回っています。もうこうなると吸える状態ではなく、余程の抵抗値を持ったHVアトマでもかなり辛いきびしい状態になると思われます。


可変電力(VW)設定でも同様にRMSを使った計測を行ってみました。5.0W~15.0Wで1.0Wづつ、それぞれ2.0Ωのカトマイザーを使って計測したRMS値から電力を割り出しています。結果からは、RMS電圧は緩やかに上がっているように見えるものの、設定したワット数からはやはりかけ離れた電力が出力されていて、2.0Ωのカトマイザーを最低でも4.75Vで使用、それ以上にしか上げることができないのは実用には耐えられるとは思えません。

■まとめ
MOD自体の作りや品質、スイッチ動作のクリック感、LCDの見やすさなど、MODとしての基本はすべて整っている製品です。もちろんProVariと比較して、より高級感があるといったものではありませんが電子的な回路設計が改善されればVV/VW製品としての存在価値は充分にあると思えます。
今回の計測結果で今ひとつ自信がないのは、私の使っているオシロスコープではVpeakの最大電圧が通電時に一瞬でも到達したピークを表示してしまうため、より精度の高い計測器でピークの平均値を計測できれば、RMS値は今回の結果よりもやや低くなるはずです。あくまでも私の機器で調べた場合の結果は目安であるとご理解ください。
PWM回路による電圧制御がそもそも電子タバコに向いているのかどうか。RMSによる実効電圧という考え方と吸い心地がどこまで比例するものなのかについては、ややサンプルが少なすぎるような気がします。海外のフォーラムやVmaxのYouTubeレビューを見ていても、人によっては絶賛されている場合もありますので一概にダメな製品だとは思いません。それでも素直なリニア制御のProVariなどと比較して味の辛さという点でどうしても疑問が残ってしまうのが私の感想です。(ProVariでもブースト後の整流にPWMが使用されていますが、PWM制御による可変電圧とは根本的な意味合いが異なります。)
ここからの問題は、果たしてSmoketechがこの状況を問題だと認識をしてV2などの次期製品で改良できるかどうかです。PWMを使った製品は今後も出続ける可能性がありますが、RMSを採用するかそもそもPWMを使わないかというくらいまで状況はまずいところにあると思います。私のような非力なレビュアーではなく販売店からもメーカーへのプッシュが増えることで、今後よりよい製品が開発されることを願っています。


購入先:Madvapes.com ZMax Variable Volt APV $119.99
ZmaxはVmaxの親戚に近い、あるいは後継という位置づけの製品ですが、なんと言ってもその特徴は可変電圧(Variable Voltage)だけでなく、Darwin/Kickでしか提供されてこなかった可変電力(Variable Wattage)、つまり電力を指定することで電圧を自動的に調整する機能の提供です。ほぼEvolvapor社の独占市場だったところに加えて、VV/VWという両方の設定を持つ製品はロシアのSvoeMesto以来2つ目の製品になりますが可変電力をPWMで実現しているのは、唯一このZmaxだけになると思われます。

見た目には明らかにProVariを意識しているような作りですが、寸法は123mm x 21mmとやや18xxx系のバッテリーMODにしては細身になっています。逆に長さはLavatubeとほぼ同じでProVariをやや上回ります。重量は89gでProVariより10g程度軽いのですが、重量感は非常に高級感のある存在です。
使用するバッテリーはVmaxと同様に18350の2本スタックに加えて18650を1本のみでも動作するようになりました。また18350はニップルのないフラットなもののみ、さらに別売りのエクステンションを使用しないとならないため、基本的には18650で使用する前提だと考えてよいかと思います。


また本体にはガス抜きのスロットが設けられていますが、これは今のところMadvapesで販売されているZmaxのみ(写真右側)に適用されていて、今後他の販売店でも同様にスロットが設けられるのかは不明です。左側のものが通常のZmaxです。


アトマイザー接続部は510に加えてeGoスカート用の切れ込みがあるため、StardustなどのeGo製品をそのまま装着することが可能です。


■設定
設定はProVariやVmaxと同様にボタン一つで行います。詳しい説明はここでは避けますが、ProVariに近い機能にVV/VWの設定項目が追加されているイメージです。ボタンクリック4回で以下のメニュー項目を表示させることができます。
メニュー1: VV/VWの上昇
メニュー2: VV/VWの下降
メニュー3: 主電源ON/OFF
メニュー4: バッテリー残量
メニュー5: 通電時表示切替(バッテリー残量/抵抗値/VV/VW設定値)
メニュー6: 通電時LCD ON/OFF
メニュー7: VV/VW切替

操作自体に迷うことはなくブルーのLCDは綺麗なのですが、やや表示が大きすぎるため通電時にはオフにしておきたいとは個人的に思いました。
■VV/VW機能

まずはこのグラフを見てください。これまでの計測方法であればPWMにおけるVavgのみを計測電圧としてしようしていたため、結果としては3.0Ωのカトマイザーで設定電圧に近い結果を出していて、デュアルコイルの1.5ΩとBoge 2.0Ωでは5V付近でカットオフが出ているという読み方になります。つまり、Vmaxと同様にほぼ設定に通りのパフォーマンスを見せていると考えて来ました。
次にRMSを使った実効電圧をグラフにします。




薄く表示されているVavgに加えてRMSによって計算される実行値が上回っているのがおわかりでしょうか。つまり3.0V設定をしても実効電圧として4.5V以上が発生してしまっています。ただし6.0V設定へ向かうに従ってその差が縮まり、最終的には差がなくなっています。これは電圧が低ければDuty Cycleも低いことを意味していて、高い電圧を出力するときにはDuty Cycleが100%に近くなっているためです。
さらにまずいのは、スタックバッテリーを使用した場合は直列によりピーク電圧がシングル使用時よりもさらに上がってしまうため、Duty Cycleをさらに下げることで設定電圧を導こうとします。この結果RMS実効電圧はさらに上がってしまうこと、さらに5.5V以上でもDuty Cycleを使用することで実効電圧は7Vを遙かに上回っています。もうこうなると吸える状態ではなく、余程の抵抗値を持ったHVアトマでもかなり辛いきびしい状態になると思われます。


可変電力(VW)設定でも同様にRMSを使った計測を行ってみました。5.0W~15.0Wで1.0Wづつ、それぞれ2.0Ωのカトマイザーを使って計測したRMS値から電力を割り出しています。結果からは、RMS電圧は緩やかに上がっているように見えるものの、設定したワット数からはやはりかけ離れた電力が出力されていて、2.0Ωのカトマイザーを最低でも4.75Vで使用、それ以上にしか上げることができないのは実用には耐えられるとは思えません。

■まとめ
MOD自体の作りや品質、スイッチ動作のクリック感、LCDの見やすさなど、MODとしての基本はすべて整っている製品です。もちろんProVariと比較して、より高級感があるといったものではありませんが電子的な回路設計が改善されればVV/VW製品としての存在価値は充分にあると思えます。
今回の計測結果で今ひとつ自信がないのは、私の使っているオシロスコープではVpeakの最大電圧が通電時に一瞬でも到達したピークを表示してしまうため、より精度の高い計測器でピークの平均値を計測できれば、RMS値は今回の結果よりもやや低くなるはずです。あくまでも私の機器で調べた場合の結果は目安であるとご理解ください。
PWM回路による電圧制御がそもそも電子タバコに向いているのかどうか。RMSによる実効電圧という考え方と吸い心地がどこまで比例するものなのかについては、ややサンプルが少なすぎるような気がします。海外のフォーラムやVmaxのYouTubeレビューを見ていても、人によっては絶賛されている場合もありますので一概にダメな製品だとは思いません。それでも素直なリニア制御のProVariなどと比較して味の辛さという点でどうしても疑問が残ってしまうのが私の感想です。(ProVariでもブースト後の整流にPWMが使用されていますが、PWM制御による可変電圧とは根本的な意味合いが異なります。)
ここからの問題は、果たしてSmoketechがこの状況を問題だと認識をしてV2などの次期製品で改良できるかどうかです。PWMを使った製品は今後も出続ける可能性がありますが、RMSを採用するかそもそもPWMを使わないかというくらいまで状況はまずいところにあると思います。私のような非力なレビュアーではなく販売店からもメーカーへのプッシュが増えることで、今後よりよい製品が開発されることを願っています。


購入先:Madvapes.com ZMax Variable Volt APV $119.99