Atmizoo Rollerレビュー

『Atmizoo Roller』はギリシャ製のオールメカニカルのテレスコピックバッテリーMOD。有名どころのModderの多いギリシャですが、Atomizoneと呼ばれるModder集団が作り上げたのが、MODショップのAtmizoo。設計から製造・販売までを一貫したチーム体制で行っています。
Modderの多くは設計後に製造を外注することが多く、自ら製造まで行っている場合でもフォーラム上で直接販売するパターンが多くなります。Atmizooのように設計からユーザーに届けるまで揃っているパターンは非常に珍しく、Precise PlusのSuper-T Manufacturingのようなイメージでしょうか。

そのAtmizooから販売されているバッテリーMDOが「Roller」と「Dingo」。欧州でそこそこ人気の高い製品で入手が困難ではありましたが、ようやく在庫がちらほら入るようになり、今回入手することが出来ました。


■基本仕様など
「Roller」の基本スペックは以下の通りです。
直径 22mm
長さ 18350/69mm 18500/77mm 18650/93mm
重さ 74g
材質 ステンレス(ポリッシュ/ナチュラルマット/アイスマット:パーツ単位の組み合わせも可)
主な機能:テレスコピックチューブにより18350/18500/18650のバッテリーサイズに対応するほか、18350/18500でのKickの利用、別売りのKickエクステンションを使えば18650バッテリーでもKickが利用できます。姉妹品の「Dingo」とはチューブ以外すべて共通のパーツのため、Dingo用チューブを購入すれば18350モードを最短の64mmにすることができます。



まず手にして思うのは、金属チューブが薄さとパーツのひとつひとつまで設計・製造した造りこみにより非常に小さく感じます。他のMODと並べてもご覧の通りです。薄っぺらさと軽量感から”安っぽく”感じてしまいそうではありますが、触っていくうちにその心配はただの危惧でしかないことに気づきます。

■各パーツをみていこう

トップキャップとスイッチは一体型、テレスコチューブとボトムキャップという非常にシンプルな構造です。このシンプルさが短い全長を実現しています。
<<テレスコピックチューブ>>
チューブの肉厚はわずかに0.8mmしかなく2本のチューブで28.2gと軽量化されています。同じくテレスコピックで最軽量だと思っていた「Gus Telescopic」でも32.0gです。


<<ボトムキャップ>>
ボトムキャップにはそれほどの特徴はありませんが、ショート時の保護用スプリングが長めなこと、クリーニングのための分解が可能です。そして、もっとも感心したのは、チューブとのつなぎ目がほとんど見えなくなるくらいまで精巧につくられていることです。
また、ボトムのプレートにはガス抜きの穴があり、これにアレンレンチなどを差し込んで回せば(リバーススレッド)簡単に外れます。





<<トップキャップ>>
スイッチ一体式のトップキャップには、エアドロー用のスリットが大きくてタンクとの隙間を持たせた「Classic」と、スリットを極限まで減らしてキャップ表面に段差をなくした「Recessed」の2つが同梱されます。いずれもコインをスリットに引っかけて回すことで取り外しや交換が楽にできます。
カトマイザータンクを装着して隙間を持たせたい場合には「Classic」を、Genesisアトマイザーのようにエアフローが必要ない場合や、ボトムフローでもタンク自体にスリットが入っている場合には「Recessed」を選択します。


センターピンはマイナスドライバーで高さ調整が可能ですが、「Recessed」を使う場合にはセンターピンにはめられたオーリングを抜きます。これを付けたままだと、タンクを奥まではめられないためです。


特に記述がなかったので定かではないですが、センターピンやスイッチ部の金属にはブラス製で、その上にPOLDIACと同様のシルバーコーティングが掛かっているように見えます。金属接点によるバッテリー電圧の低下を計測してみましたが、4.20Vで満充電のバッテリーを入れてみたところ、そのまま計測値も4.20Vと抵抗がないという結果でした。

<<スイッチ>>
スイッチは印が上を向いているときにのみ通電し、つまみを回して他の角度にしているときには通電しないロック機能を持っています。スイッチ自体が押せなくなるのではなく、押し込んでも通電しない機構は実は珍しいのではないでしょうか。片手でもギリギリつまみを回すことは可能ですが、落としたくなければ両手で行った方が安全です。
スイッチはオールメカニカルですので、調子が悪くなったときやクリーニング目的で完全な分解が可能ですが、バッテリーMODとしてはPOLDIACに並んで複雑な構造です。必要がなければ分解しない方がいいとかのレベルではないんですが、小さなパーツを飛ばしてなくしてしまうリスクがあるので、その点だけ注意が必要です。



スプーンなどを使ってスイッチのつまみを外しますが、MOD自体を傷つける恐れがあるので布やプラスチックバッグなどで保護しながらてこの原理で多方向から力を入れて外します。つまみの下にDerlin製のリングがありますので、これもピンセットなどを使って外しておきます。トップキャップ側のコネクターもコインを使って外します。これでスイッチを抜き出す準備ができました。




指でスイッチを押し込みながら、トップキャップ側から細いものを使ってスイッチを押し出します。写真ではカトマイザーの吸い口を下にしてセンターピンを傷つけないようにやってみました。ただし!このときに細心の注意が必要です。ここで一気にスイッチを押し出してしまうと色々なパーツが吹っ飛びます。ですので、写真のように下から指で引っ張り出せるくらいまで押し出し、この状態でブラス製のリングを外します。そして引っこ抜くときにスイッチが押し込まれた状態で引き出せるようにがんばってみてください。
この指の下には小さい金属の球がありますので気をつけてください。ゆっくりと指を離してスイッチを引き出すと、金属の球、小さなスプリング、電極などがボロボロ外れて出てきます。



スイッチの稼動部分を外したら、上下についていてる電極をそれぞれ外します。指で外すには固すぎるため、ドライバーを内部に入れて押し出すようにすれば外れます。またトップキャップ側にはDerlinのリングがはまっていますので、これを先にはずしておきます。



すべてのパーツを分解すると、これだけの量で複雑だということが理解できたと思います。ただし覚えてしまえば分解も組み立てにもそれほど時間が掛かるものではありません。ベアリングとなる球はスペアで2個ついてきますが、私も一度机から落として潜り込んで探す羽目になりました。ので、本当にこのあたりにご注意を。
組み立てるときの注意点として、最後にスイッチのつまみを戻すとき、電極ロッドが縦にある状態で球を左90度の位置にして押し込んだら、つまみの目印が北を向くように設置します。これが通電位置の目印になります。


■まとめ
スイッチの押し心地、スレッドの滑らかさのどこをとっても品質は非常に高く、持っていて満足感が高いバッテリーMODです。電圧ドロップもなく、通電のミスファイアとも無縁です。Foggattiを上に乗せようと思ったのでサテン仕上げを購入してみましたが、これはこれでやはりいいですね。指紋を気にしなくてよいのが最高です。DingoのチューブやKickエクステンションも欲しいところですが、それならポリッシュをもう1本欲しくなってきました。
Kick+18490バッテリーの状態、つまり18650モードで、18490サイズのProVariと全長が同じなので、Kickを常用していても長さが気になることがないのがお気に入りです。また、Genesisではなく短いRBAなどでは18350モードも気持ちいいかと思います。
ショップの在庫が補充されたら速攻で購入すべきレベルのMODだと思います。



購入先: Atmizoo 本体 €110.70~€115.38
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