Orion V3レビュー

『Orion V3 (オライオンV3、日本だとオリオンビールやオリオン座からそのままオリオンV3でも)』は、言わずと知れた有名Modder Nonsmoker氏によるハイブリッド型のPV(パーソナルベーパライザー)。バージョン3となった今作は可変電力を搭載したVW機として登場です。リリース前から上限15Wに賛否両論が飛び交いキャンセル者が続出していましたが、かくいう私もそのひとりであります。
今回、JPVのbigjo氏にV3のレビューのご依頼をいただき、興味津々で挑ませていただきます。
■基本仕様など
直径 22.5mm/20mm(最大/最小)
高さ 121mm/155mm(18350/18650モード)
重さ 130g
材質 ステンレス(サンドブラスト仕上げ)
可変電力 5~15W
アンペア上限 7amp
保護機能 短絡保護、15秒カットオフ、自動主電源オフ、電池リバース保護、温度監視、放電上限設定

本体の高さはVW機能とディスプレイを搭載したためにV2よりも9mmほど高くなっていますが、それでも相当なコンパクトに仕上がっていて、比較に向いているかは分かりませんが、ドリップチップを含んだ高さは121mmとiPhone 5の123.8 mmよりも小さいです。
Orionの最大の利点をコンパクトさに求める場合は、9mm高くなった分をどう考えるかが人によって異なると思います。私の場合もこの利点に惹かれる比重が高いのですが、手持ちのV2にはロック機能がなくポケットフレンドリーではないことが災いして結果持ち歩いていませんでした。そう考えれば9mmを犠牲にしても安心してポケットに入れられることは歓迎すべきことだと思います。
Orionは当初フルメカニカルとして登場しましたが、その後PailpoeというModderさんの電子スイッチよるMODが流行、V2ではPeolipe氏と組んで最初からこのスイッチを組み込んだ製品となりました。V2.1ではエアホール、ドリップチップにマイナーチェンジを加え、仕上げをポリッシュからブラシに変更。そして今回のVW機能とサンドブラスト仕上げとなったV3へのメジャーバージョンアップが行われたという経緯です。

先日のオフ会でOrion V2、V2.1、V3を並べて撮影するチャンス到来。カメラ持ってけばよかった…。

タンク容量は変わらず2mlと思われますが、数ミリ高さがあります。2つ並べてみると分かるのですがV2のタンクを装着してみるとオーリングにやや届いていません。V2のスペアタンクを使えないのは少し痛いかもです。

今回、V3用のエクステンションチューブをお借りできなかったので不明ですが、恐らくはサイズ的にはV2のものと同様と思われます。試しにV2のエクステをつけて18650モードを試してみると何の問題もなく使えました。ただOrionの価値の多くをコンパクトさに求める場合には18350のままにしている方がほとんどだとは思います。
電子制御については後ほど解説しますが、保護機能としてOrionでは初の電池リバース保護が入り、これまでPeilpoeスイッチで痛い思いをした私としては感激。なおV3ではポジティブダウンからポジティブアップに変更になっています。
■アトマイザー


アトマイザーの設計はV2と異なりウィックホールが2.5mmのシングルウィック専用となりました。V2ではUウィックを試す人も多かったのですが、V3はワット数が可変ですのでシングルウィックで充分と思います。またセンタポールの高さが変更されてこれまでよりもセットアップが楽になった気がします。
ウィックホールの横に出ている船のデッキにあるエアベントのようなものは、まさに排気口でエアホールから取り込んだエアを直接ウィックに向かわせるものです。実質的な効果は試飲するまで分かりませんが試みとしては面白いと思います。実際のエアホールはタンクとキャップに挟まれたリングの下にあり、ここに3つのサイズのエアホールを合わせることで取り込み量をコントロールすることができます。


■コントローラー

VW制御はワンボタンで行います。
主電源オン … 5回クリック
メニュー … 3回クリック / メニュー表示の長押しか連続2回押しで変更可能
<P1>電力上昇 … 5~15Wの範囲で1Wづつ電力設定を上昇、15→5Wへのラウンドロビン
<P2>電力下降 … 5~15Wの範囲で1Wづつ電力設定を下降、5→15Wへのラウンドロビン
<P3>Ω表示 … アトマイザーの抵抗値を表示
<P4>電池電圧表示 … バッテリーの残量電圧と負荷時電圧を表示
<P5>電圧下限設定 … バッテリーに応じた残電圧の下限を2.8~7Vで設定
<P6>主電源… 本体の主電源をオン・オフ
エラーコード
<E0>… 不明なエラー
<E1>… 抵抗値ナシ
<E2>… 抵抗値が推奨範囲外(1.0~3.0Ω)
<E3>… 抵抗値が絶対範囲越外(0.8Ω以下、または3.2Ω以上)
<E4>… 電源ショートあるいは接触不良
<E5>… 電池残量が低すぎる
<E6>… オーバーヒート
<E7>… 通電時間超過
この中で重要な設定がP5の電圧下限設定です。これはバッテリーの最低動作の電圧を設定するもので、Orion V3が18350のスタックバッテリーに対応しているため、18350×1、18650×1では2.8Vあるいは好みの電圧、18350×2では5.6Vあるいはそれ以上の好みの電圧に設定します。誤って高い設定のままにしておくと満充電でも通電しなくなりますので注意が必要です。
その他、Ω表示などあって欲しい機能はほとんどあり、ワンボタンの設定も街時間があまり長くなくストレスフリーでの設定が可能です。
Orion V3のエラーコードの扱いはやや特殊で、例えば抵抗値が推奨範囲を下回るとE3エラーとなりますが、P3メニューで確認して0.8Ω程度であれば、エラーモードにして長押しすることでこれをクリア、そのまま吸うことができます。また、エラー状態を解消しても自動ではエラーが消えず、エラーモードにして自分でクリアしなければなりません。
ちなみにスイッチと回路を見てみたかったのですが、剥がすと保証なくなるよと書かれたシールが貼られていたので、分解は控えておきました。


Nonsmokerのページ掲載されているV3のスイッチ写真と、V2の分解したスイッチの写真を並べておきます。


■VW機能
可変電力(VW)機能の詳細については、Kickのレビューをご参照ください。
Orion V3のワット上限が15Wだというニュースは世界中を駆け巡り賛否両論ではなく、ほぼネガティブな事としてコミュニティに受け取られました。確かにKickの10WもDNAとして20Wに引き上げられ、Genesisユーザーにとっては20W以下を容易には受け入れられないのは事実です。しかもOrionはGenesis専用のハブリッドですので。
しかし、15Wあれば計算上では推奨でも1Ωで3.87amp、エラーをクリアにすれば0.8Ωで4.33ampですから、上限の7ampには余裕で対応できます。ボディとタンクがこのサイズのMODですので、個人的には問題のない上限だとは思います。ただしギリギリではあります。
本来であれば、ここで電力測定を行いたいのですが、残念ながらOrion V3の制御回路はPWMではなくALT方式のため、デュアルチャンネルのオシロスコープでなければ計測ができません。試しにシングルで計測してみてもやはりピーク電圧しか測定することができませんでした。Orion以外でもこの方式が増えてくれば検討しますが、2ch、4chのオシロは結構価格も張りますので、今回は勘弁して下さい。。。
Orion V3のもうひとつの特徴は、自分の設定した残電圧の下限に応じて、設定値近づくと自動的に電力を下げる仕組みを持っていることです。これはつまり電池の動作寿命を長引かせるためのもので、例えば2.9Vに下限を設定した場合、3.3Vになると自動的にそこから電圧に応じて徐々にワット数を下げていく機能です。ProVariのように設定した電圧を出せなくなった時点で完全にシャットオフするのか、あるいは徐々に下げることで電池を長持ちさせるのかは好みの分かれるところです。
Orionで18350モードでの使用がほとんどだとは思うので、時間が延びるのはありがたいとは思いますが、個人的には設定した通りに出せなくなったのならKickのように途切れ途切れになって、電池交換を求められる方がいさぎよくて好きです。できればこの機能のオン・オフが欲しいとは思います。
■セットアップ
測定ができないのなら味で見極めようじゃありませんか。
まずは推奨の32ゲージで3/4巻でセットアップ。これで1.7Ωとのことですが、見事に1.8Ωでした。Orionは伝統的に32ゲージと相性が悪くホットスポットの嵐だという方が結構います。これはセットアップ時に使うバッテリーの残電圧がかなり低くなっっていればやや低減するのですが、Peilpoeスイッチが制御を行っているものの最初の一撃でやや高い電圧が流れることが原因と思われます。
Orion V3ではそういうことはないのだろうと思っていたのですが、そもそも電力を5Wと最低限にしてセットアップ、ホットスポットエリアが減るとともに徐々に設定を上げていくと簡単に終わりました。Orionで何本もワイヤーを切ってきた自分としてこれは驚きです。


推奨範囲内の抵抗値なのでエラーもなく吸うことが出来ます。いやでもなんかおかしい。おかしいと思いつつなんだかよくわからなかったのですが、吸い心地が何かに似ています。思い出したのはFoggatti 22です。Foggattiと共通しているのは一旦再度から取り込んだエアが内部構造を通ってからウィックへ届くという部分です。それと同様にやや煙量が少なく薄く感じるのです。
リングを回してエアホールのサイズを調整してみましたが結果はあまり変わらずです。もちろんそれなりの煙量もありますし、喉ごしも出ているのです。ただ何となく水で薄めたような吸い込んでいる量に見合わない何かを感じるのです。32ゲージを最近吸っていないせいだと思い、他のワイヤーサイズでも試してみることにします。
次に試したのは30ゲージの5巻、1.3Ωでした。今度はややワイヤーが多くなったためか煙量が増えます。ただ設定電力を上げると辛みを感じてしまうので結局12Wまでにしています。多少はマシになったと思います。


ここまできたら28ゲージでしょう。5巻で0.8Ω。普段と変わりません。エラーをクリアして吸ってみたところ、ほぼいつも通りの味わいになりました。これなら常用できるかなと自分の正直に聞いてみたところ、何かが引っかかります。
そうです。エアフローです。
どうしようかな、V3のキャップに穴を開けたらbigjoさんにぶっ殺されるのは確実だしな。そんな考えはほんの瞬間しか頭を過ぎりませんでしたよ。そして見付けたのがV2のキャップ。考えればアトマイザー部分の仕様は同じはずなのではまるはず。

はい、ピッタリでした。V3についているリングは完全にクローズにしてトップキャップのエアフローのみで吸ってみます。これが大当たり。もしかしたらセットアップに身体が慣れているからということなのかも知れませんが、明らかにフレーバーと煙量が帰ってきました。これであれば全然常用できます(よ、たぶん)。
実はOrion V2の弱点のひとつなのですが、エアホールが1mm、ドリップチップのホールもかなり狭くて、ドローがきつ過ぎるという部分がありました。これを解消するため、キャップのみを販売しているModderさんからエアホールを1.3mmに拡大、510ドリップチップを付けられるキャップというのを持っていたはずなのを思い出しました。
夜中の2時に引き出し中を捜しまくること30分、ようやく見つかりましてV3のスレッドともピッタリでした。オーリングをはめて穴の位置をウィックの前に持ってきて吸ってみます。
完璧ですね。もう上半分はOrionとは言えないシロモノにはなっていますが、今度こそこれであれば常用が可能です。



■まとめ
いやなかなかOrion V3との格闘は楽しかったです。V3になって製品として確立されてきた部分があるのかなと思いきや、VWや新エアフロー設計など、新機能を搭載した価値はあったと思います。ただどうしても新機能が入れば微調整が必要になるのは間違いなく、そのしわ寄せはユーザーに来てしまいます。
V3.1がそのうち出るのではないかと期待していたりはしますが、アンペアは7amp上限まで許しているのですから、20W上限に引き上げてもよいのではないかと思います。その分バッテリーの持ちが厳しくなると思うので、ぜひ次回は18490への対応チューブが欲しいところ。エアフローは好みの問題とは思いますが、もし変わらないのであれば、やはり私は自分のキャップを使い続けると思います。
ネガティブなことばかりではありません。充分すぎる保護機能の搭載、魔法のようにホットスポットが起きにくくなったこと、既成パイプではなく上から下まで1本の丸棒から削り出した美しすぎる加工、主電源のオン・オフでついに持ち歩けるようになったことなど、ポジティブ面もいくらでも書き出せます。
世界中のMODファンを熱狂させ、そして一瞬冷え込んだかに見えるOrion熱。次の一手が重要ですね。どうでしょう、そろそろ完全メカニカルに戻ったポリッシュ仕上げのOrion Originとかが廉価で出てくると私は再度熱狂しますけども。





お借り先: JPVapers.comのbigjo氏(とってもナイスガイでした)
購入先: Vaporwall
<<コメントはJPVapers.comのこちらのスレッドまでお願いいたします>>
直径 22.5mm/20mm(最大/最小)
高さ 121mm/155mm(18350/18650モード)
重さ 130g
材質 ステンレス(サンドブラスト仕上げ)
可変電力 5~15W
アンペア上限 7amp
保護機能 短絡保護、15秒カットオフ、自動主電源オフ、電池リバース保護、温度監視、放電上限設定

本体の高さはVW機能とディスプレイを搭載したためにV2よりも9mmほど高くなっていますが、それでも相当なコンパクトに仕上がっていて、比較に向いているかは分かりませんが、ドリップチップを含んだ高さは121mmとiPhone 5の123.8 mmよりも小さいです。
Orionの最大の利点をコンパクトさに求める場合は、9mm高くなった分をどう考えるかが人によって異なると思います。私の場合もこの利点に惹かれる比重が高いのですが、手持ちのV2にはロック機能がなくポケットフレンドリーではないことが災いして結果持ち歩いていませんでした。そう考えれば9mmを犠牲にしても安心してポケットに入れられることは歓迎すべきことだと思います。
Orionは当初フルメカニカルとして登場しましたが、その後PailpoeというModderさんの電子スイッチよるMODが流行、V2ではPeolipe氏と組んで最初からこのスイッチを組み込んだ製品となりました。V2.1ではエアホール、ドリップチップにマイナーチェンジを加え、仕上げをポリッシュからブラシに変更。そして今回のVW機能とサンドブラスト仕上げとなったV3へのメジャーバージョンアップが行われたという経緯です。

先日のオフ会でOrion V2、V2.1、V3を並べて撮影するチャンス到来。カメラ持ってけばよかった…。

タンク容量は変わらず2mlと思われますが、数ミリ高さがあります。2つ並べてみると分かるのですがV2のタンクを装着してみるとオーリングにやや届いていません。V2のスペアタンクを使えないのは少し痛いかもです。

今回、V3用のエクステンションチューブをお借りできなかったので不明ですが、恐らくはサイズ的にはV2のものと同様と思われます。試しにV2のエクステをつけて18650モードを試してみると何の問題もなく使えました。ただOrionの価値の多くをコンパクトさに求める場合には18350のままにしている方がほとんどだとは思います。
電子制御については後ほど解説しますが、保護機能としてOrionでは初の電池リバース保護が入り、これまでPeilpoeスイッチで痛い思いをした私としては感激。なおV3ではポジティブダウンからポジティブアップに変更になっています。
■アトマイザー


アトマイザーの設計はV2と異なりウィックホールが2.5mmのシングルウィック専用となりました。V2ではUウィックを試す人も多かったのですが、V3はワット数が可変ですのでシングルウィックで充分と思います。またセンタポールの高さが変更されてこれまでよりもセットアップが楽になった気がします。
ウィックホールの横に出ている船のデッキにあるエアベントのようなものは、まさに排気口でエアホールから取り込んだエアを直接ウィックに向かわせるものです。実質的な効果は試飲するまで分かりませんが試みとしては面白いと思います。実際のエアホールはタンクとキャップに挟まれたリングの下にあり、ここに3つのサイズのエアホールを合わせることで取り込み量をコントロールすることができます。


■コントローラー

VW制御はワンボタンで行います。
主電源オン … 5回クリック
メニュー … 3回クリック / メニュー表示の長押しか連続2回押しで変更可能
<P1>電力上昇 … 5~15Wの範囲で1Wづつ電力設定を上昇、15→5Wへのラウンドロビン
<P2>電力下降 … 5~15Wの範囲で1Wづつ電力設定を下降、5→15Wへのラウンドロビン
<P3>Ω表示 … アトマイザーの抵抗値を表示
<P4>電池電圧表示 … バッテリーの残量電圧と負荷時電圧を表示
<P5>電圧下限設定 … バッテリーに応じた残電圧の下限を2.8~7Vで設定
<P6>主電源… 本体の主電源をオン・オフ
エラーコード
<E0>… 不明なエラー
<E1>… 抵抗値ナシ
<E2>… 抵抗値が推奨範囲外(1.0~3.0Ω)
<E3>… 抵抗値が絶対範囲越外(0.8Ω以下、または3.2Ω以上)
<E4>… 電源ショートあるいは接触不良
<E5>… 電池残量が低すぎる
<E6>… オーバーヒート
<E7>… 通電時間超過
この中で重要な設定がP5の電圧下限設定です。これはバッテリーの最低動作の電圧を設定するもので、Orion V3が18350のスタックバッテリーに対応しているため、18350×1、18650×1では2.8Vあるいは好みの電圧、18350×2では5.6Vあるいはそれ以上の好みの電圧に設定します。誤って高い設定のままにしておくと満充電でも通電しなくなりますので注意が必要です。
その他、Ω表示などあって欲しい機能はほとんどあり、ワンボタンの設定も街時間があまり長くなくストレスフリーでの設定が可能です。
Orion V3のエラーコードの扱いはやや特殊で、例えば抵抗値が推奨範囲を下回るとE3エラーとなりますが、P3メニューで確認して0.8Ω程度であれば、エラーモードにして長押しすることでこれをクリア、そのまま吸うことができます。また、エラー状態を解消しても自動ではエラーが消えず、エラーモードにして自分でクリアしなければなりません。
ちなみにスイッチと回路を見てみたかったのですが、剥がすと保証なくなるよと書かれたシールが貼られていたので、分解は控えておきました。


Nonsmokerのページ掲載されているV3のスイッチ写真と、V2の分解したスイッチの写真を並べておきます。


■VW機能
可変電力(VW)機能の詳細については、Kickのレビューをご参照ください。
Orion V3のワット上限が15Wだというニュースは世界中を駆け巡り賛否両論ではなく、ほぼネガティブな事としてコミュニティに受け取られました。確かにKickの10WもDNAとして20Wに引き上げられ、Genesisユーザーにとっては20W以下を容易には受け入れられないのは事実です。しかもOrionはGenesis専用のハブリッドですので。
しかし、15Wあれば計算上では推奨でも1Ωで3.87amp、エラーをクリアにすれば0.8Ωで4.33ampですから、上限の7ampには余裕で対応できます。ボディとタンクがこのサイズのMODですので、個人的には問題のない上限だとは思います。ただしギリギリではあります。
本来であれば、ここで電力測定を行いたいのですが、残念ながらOrion V3の制御回路はPWMではなくALT方式のため、デュアルチャンネルのオシロスコープでなければ計測ができません。試しにシングルで計測してみてもやはりピーク電圧しか測定することができませんでした。Orion以外でもこの方式が増えてくれば検討しますが、2ch、4chのオシロは結構価格も張りますので、今回は勘弁して下さい。。。
Orion V3のもうひとつの特徴は、自分の設定した残電圧の下限に応じて、設定値近づくと自動的に電力を下げる仕組みを持っていることです。これはつまり電池の動作寿命を長引かせるためのもので、例えば2.9Vに下限を設定した場合、3.3Vになると自動的にそこから電圧に応じて徐々にワット数を下げていく機能です。ProVariのように設定した電圧を出せなくなった時点で完全にシャットオフするのか、あるいは徐々に下げることで電池を長持ちさせるのかは好みの分かれるところです。
Orionで18350モードでの使用がほとんどだとは思うので、時間が延びるのはありがたいとは思いますが、個人的には設定した通りに出せなくなったのならKickのように途切れ途切れになって、電池交換を求められる方がいさぎよくて好きです。できればこの機能のオン・オフが欲しいとは思います。
■セットアップ
測定ができないのなら味で見極めようじゃありませんか。
まずは推奨の32ゲージで3/4巻でセットアップ。これで1.7Ωとのことですが、見事に1.8Ωでした。Orionは伝統的に32ゲージと相性が悪くホットスポットの嵐だという方が結構います。これはセットアップ時に使うバッテリーの残電圧がかなり低くなっっていればやや低減するのですが、Peilpoeスイッチが制御を行っているものの最初の一撃でやや高い電圧が流れることが原因と思われます。
Orion V3ではそういうことはないのだろうと思っていたのですが、そもそも電力を5Wと最低限にしてセットアップ、ホットスポットエリアが減るとともに徐々に設定を上げていくと簡単に終わりました。Orionで何本もワイヤーを切ってきた自分としてこれは驚きです。


推奨範囲内の抵抗値なのでエラーもなく吸うことが出来ます。いやでもなんかおかしい。おかしいと思いつつなんだかよくわからなかったのですが、吸い心地が何かに似ています。思い出したのはFoggatti 22です。Foggattiと共通しているのは一旦再度から取り込んだエアが内部構造を通ってからウィックへ届くという部分です。それと同様にやや煙量が少なく薄く感じるのです。
リングを回してエアホールのサイズを調整してみましたが結果はあまり変わらずです。もちろんそれなりの煙量もありますし、喉ごしも出ているのです。ただ何となく水で薄めたような吸い込んでいる量に見合わない何かを感じるのです。32ゲージを最近吸っていないせいだと思い、他のワイヤーサイズでも試してみることにします。
次に試したのは30ゲージの5巻、1.3Ωでした。今度はややワイヤーが多くなったためか煙量が増えます。ただ設定電力を上げると辛みを感じてしまうので結局12Wまでにしています。多少はマシになったと思います。


ここまできたら28ゲージでしょう。5巻で0.8Ω。普段と変わりません。エラーをクリアして吸ってみたところ、ほぼいつも通りの味わいになりました。これなら常用できるかなと自分の正直に聞いてみたところ、何かが引っかかります。
そうです。エアフローです。
どうしようかな、V3のキャップに穴を開けたらbigjoさんにぶっ殺されるのは確実だしな。そんな考えはほんの瞬間しか頭を過ぎりませんでしたよ。そして見付けたのがV2のキャップ。考えればアトマイザー部分の仕様は同じはずなのではまるはず。

はい、ピッタリでした。V3についているリングは完全にクローズにしてトップキャップのエアフローのみで吸ってみます。これが大当たり。もしかしたらセットアップに身体が慣れているからということなのかも知れませんが、明らかにフレーバーと煙量が帰ってきました。これであれば全然常用できます(よ、たぶん)。
実はOrion V2の弱点のひとつなのですが、エアホールが1mm、ドリップチップのホールもかなり狭くて、ドローがきつ過ぎるという部分がありました。これを解消するため、キャップのみを販売しているModderさんからエアホールを1.3mmに拡大、510ドリップチップを付けられるキャップというのを持っていたはずなのを思い出しました。
夜中の2時に引き出し中を捜しまくること30分、ようやく見つかりましてV3のスレッドともピッタリでした。オーリングをはめて穴の位置をウィックの前に持ってきて吸ってみます。
完璧ですね。もう上半分はOrionとは言えないシロモノにはなっていますが、今度こそこれであれば常用が可能です。



■まとめ
いやなかなかOrion V3との格闘は楽しかったです。V3になって製品として確立されてきた部分があるのかなと思いきや、VWや新エアフロー設計など、新機能を搭載した価値はあったと思います。ただどうしても新機能が入れば微調整が必要になるのは間違いなく、そのしわ寄せはユーザーに来てしまいます。
V3.1がそのうち出るのではないかと期待していたりはしますが、アンペアは7amp上限まで許しているのですから、20W上限に引き上げてもよいのではないかと思います。その分バッテリーの持ちが厳しくなると思うので、ぜひ次回は18490への対応チューブが欲しいところ。エアフローは好みの問題とは思いますが、もし変わらないのであれば、やはり私は自分のキャップを使い続けると思います。
ネガティブなことばかりではありません。充分すぎる保護機能の搭載、魔法のようにホットスポットが起きにくくなったこと、既成パイプではなく上から下まで1本の丸棒から削り出した美しすぎる加工、主電源のオン・オフでついに持ち歩けるようになったことなど、ポジティブ面もいくらでも書き出せます。
世界中のMODファンを熱狂させ、そして一瞬冷え込んだかに見えるOrion熱。次の一手が重要ですね。どうでしょう、そろそろ完全メカニカルに戻ったポリッシュ仕上げのOrion Originとかが廉価で出てくると私は再度熱狂しますけども。





お借り先: JPVapers.comのbigjo氏(とってもナイスガイでした)
購入先: Vaporwall
<<コメントはJPVapers.comのこちらのスレッドまでお願いいたします>>