UD IGO-W9アトマイザー

進化の激しいUDブランドのYoude社から、新たなドリッパー『IGO-W9』がリリース。恐らくIGOシリーズで初となるブラシルックと特徴的なシェイプは、ん、何だろうと目を引きつけてくれます。またコンパクトに仕上がっているそのフードの下は、オオカミの皮をかぶった羊的な要素も持ち合わせています。
そしてこの『W9』、実はなかなか入手が困難です。Youdeからリリースというのは間違いないのですが、その流通はエクスクルーシブを持つ一社しか許されておらず、なんとUDブランドにも関わらずメーカーのYoude本体からの卸販売ができないのです。そんなわけで情報も少ないのですが、見た瞬間から美味しさを確信していたため確保に苦労しつつ手を回し、ようやくゲットしてきました。

■基本仕様など
リビルダブルドリッパー (デュアル/クアドコイル)
直径 ベース22mm/最大23.5mm
高さ 27mm
重量 56g
材質 ステンレス(ブラシ)
その高さはW7とほぼ同等ですが、曲線を持つデザインと仕上げの差からか、やや大人しい雰囲気を漂わせています。ちょっと大人のUDでしょうか。3ピースデザインでスレッドはなくオーリング固定式、シンプルで使いやすそうです。


キャップはスレッドのないオーリング式ですが、上に細めの1本だけですので乾いているときにはちょうどよい感じですが、使用中は熱を持ち蒸気にも触れるため、やや緩めになります。もちろん抜けてしまうようなことはありませんが、やや緩めだと思っておいてください。
エアホールは特徴的な3つのエアホールが三角形に配置され、シルキーなミストを生成しつつも縦コイルに適切に対応しています。W7の大口径に比べると、もちろんエアーの取り込み量は減りますが、見た感じでは1.2mmまたは1.3mmが3個づつ、対面にも同じものがありますので、合計6個とドローがキツすぎると感じることはないと思われます。また、片側だけに絞ることはできないため、シングルコイルを前提としていません。


デッキはポジティブが2本、ネガティブが2本配置されています。それぞれ2本コイルの固定場所があるため、ディアルコイルをセットアップするのは非常に楽で、さらにネガティブ電極の反対側にコイルを1つづつ増やせばクアドコイルまで対応できるデッキになっています。


このあたりがオオカミの皮をかぶった羊を感じさせるところですが、実際のところはディアルコイルまでで充分という方がほとんだと思われます。試してみたかったので、という程度にはよいと思いますが、日々常用という方は少ないかと思います。いやいやいやいや、俺はそうだし!という方もいらっしゃるのですかね?だとすれば、使用可能です。ただし、エアホールは各コイルの前に来るわけではなく、どちらか2つのコイル、あるいは各コイルの中間に設置する形になります。
デッキのウェルはW7と同様にコントロールリングに回りを囲まれているためかなり深く刻まれていて、漏れ対策という点では強い構造です。AFCリング構造の宿命として蒸気が溜まりやすいというのはもちろんありますが、他と比較して特に気になるレベルのものではありませんでした。

デッキの下の510接続は他のIGOと同様に固定のプレスフィットのため高さ調整はできません。フラットな接続のためにはバッテリーMOD側で調節可能なものを使用してください。
■セットアップ
デュアルコイルでは26g、あるいは28gあたりをオススメします。これはEl DiabloのMephistoや、IGO-W7のように大口径のエアホールで爆煙を楽しむためののドリッパーに対して、IGO-W9はシルキーな煙とフレーバーの乗りを味わうという設計を楽しむためです。今回は、より味の深みを出すため、そして他のレビューとの比較のためにも28gを選択。


縦コイルを設置するとき、たまに気になるのがワイヤーの巻き方向によるコイル位置のズレ。左右対称になるように巻いておけばこれが起きないので、コイルを巻く向きを2種類に分けて作成してみました。慣れているはずのジグでの巻き方も、方向が逆になるだけで結構苦戦しましたw ただこうしておけば、気持ちよくコイルが対照に設置できるわけです。まぁ、気分の問題かも知れませんが。


0.8Ωで完成。コイル前にエアホールが来るようにして完成です。
吸い心地は狙い通りにかなりのシルキーさ。味という点においてはW7を上回りました。もちろんダイレクトのエアボリュームが異なるため、爆煙という点においてはW7に軍配が上がります。ただし、ワイヤーゲージと巻き数を調整することで、W7に近づきつつ、さらに味の飛びを抑えるスイートスポットがどこかにありそうです。
ついでにということでクアドコイルもやっておきました。先ほどの2方向のコイルを2セット用意してセットアップ。



ちょっといびつだったかなと思いつつ完成。セットアップ難易度としては、縦コイルでさらにポールの向きがプラスとマイナスで90度くらいの角度になるため、やや高めかと思います。2本通してからじゃないと固定できない分、少し苦戦するかと思います。1~2回もやれば慣れます。抵抗値は0.3Ω程度で18650の安全圏内。
そして試飲。
ごほっ、ごほっ、ごほぉぉぉっと。。。それもそのはず。エアホールの位置をコイルとコイルの間に置いたため、かなり喉にきます。これはドリッパーでもGenesisでも同じですが、コイルの前からエアホールを離すとTH(スロートヒット)が強くなって煙量が減ります。利点は喉越しを超強くした以外にありませんので、やらない方がいいです。シングルセットアップでデュアルエアホールで起きる現象に近いです。喉越しに見合わない煙量というやつです。
エアホールを位置をコイル前にスライドさせてみましたが、上記の理由から当たっていない方のコイルからの蒸気が喉にきつく、さらにミストを細かくするためのエアホールのお陰で煙量が増えません。W9でのクアドコイルは電池消費が早くなった上にミストが増えずに味が飛び、さらに喉に重たくなるという結果に。もし、いやこうすれば美味しいよ!という技を発見なさった方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えてください!
■まとめ
そのむかし、VisionのEternityというアトマイザーをレビューで大絶賛したことがありました。今でも現役で使っていらっしゃる方もいらっしゃると思います。Eternityがよかったのは、爆煙なものはあるけど漏れや過剰供給の問題、セットアップの難しさなど、従来のリビルダブルが持っていた問題を簡単に排除、さらにアトマイザーカバーを内部に持つことでシルキーなミストの代名詞を作ったことでした。
UGO-W9がEternityほどのショックを与えるとは思いませんし、味という面ではViking RDAのような優れた製品、爆煙でも味が落ちないShieldなど、数多くのドリッパーが存在する現在では、ものすごいインパクトではないのかも知れません。それでも荒々しいリビルダブルしか作ってこれなかった中国から、再びシルキーな製品が誕生したと実感できます。そして、シングルが当たり前だったEternity当時から、いよいよデュアルコイルでもシルキーなミストという時代になったのだなと思います。
クローンを作り続けるばかりの中国製品ではなく、ストライクのど真ん中を当てた製品のひとつなことは間違いないと思います。Eternityのカートリッジのように、クアドコイルはただのオマケですが、デュアルコイルとしてはセットアップはそれほど苦労はしない、グッドな製品だと思います。



購入先: Promist Vapor 4,860 円 (税抜 4,500 円)
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