本年も当レビューサイトを閲覧いただき誠にありがとうございました。ずっとマスプロ製品のレビューをさぼっているからか、なかなか本数を稼げない年でもありましたが、それでも個人的に様々な製品をいじる機会を持てた1年でありました。来年も変わらぬご愛顧を切に願います。今年最後のレビューは気に入ってしまってずっと使っているAtheaの『In'Sane(イン・セイン)』レビューをお届けいたします。
■基本仕様など
- 直径 22mm
- 高さ 29mm(ドリップチップ含む)
- 容量 2ml
- 材質 316Lステンレス、ポリカーボネート(Quadrant® 1000 PC)
- ドローの重さを3段階で調節可能
- Black PEEK製の専用ドリップチップ
- 2ポストデッキ
仕様自体はそれほど派手には見えないかも知れませんが、『In'Sane』には、そこからでは見えてこない特徴がいくつか存在します。それは追々ご説明していきますが、ここでは高さの29mmに注目です。これはドリップチップを含んだ高さですので、ドリチと510接続部を除くとその高さは22mmしかありません。ドリッパーであればさらに背が低い製品も存在するわけですが、RDTAと考えれば非常に小さいわけです。
もちろん、ショート化だけを狙えばもっと容量を減らしたり無理に小さくすることは可能かも知れませんが、Atheaの製品らしくそこはきっちりと設計されています。2mlの容量を確保しつつ、コイルの上に蒸気を生成するのに十分な高さと幅を確保しています。この設計に惚れ惚れ感満載です。
では、もう少しゆっくり上から見ていきます。
ドリップチップはスレッド式のワイドボアタイプです。そのため手持ちの510ドリップチップは使用できません。正直使っていてそれで困ったことはありませんが、好みによってMTL(マウス・トゥー・ラング)と呼ばれる口吸いのエアホールを選択したときは、やはりドリップチップもナロータイプに変更したいと思うことがあるかと思います。ここが固定になっているのは、ナロータイプを試した結果ワイドの方が美味しかったからなのか、あるいは今後510ドリップチップアダプターなどのオプションが発売されるのかは不明です。
タンク部はPMMA製で、上部にリキッド補充穴の空いたフタが着脱できるようになっています。また、コイル付近ではウィック穴が十分に取られていて良好な供給が期待できます。タンクの上部にはエアフローパーツと同様のゴムがはまっていて、ここからジュースを補充します。スレッド式のキャップを閉めれば、この部分が密閉されますので漏れないという構造です。
恐らく、内部を見た瞬間にフラッシュバックするのはK-Loudかと思います。私もGenesisタイプも含めて3世代ほど使ってきましたが、『In'Sane』との大きな差は、K-Loudはタンクではなく、底が抜けているタンクタイプのフタであること、そして供給穴の小ささ、さらにデッキスペースの狭さから、ややセットアップが難しかった印象があります。でも、引っ張り出してみると色々な思い出が蘇って巻いて吸いたくなりますが…(笑
見づらいかなと思って、白いタンクを黒バックで撮ろうと撮影用のプラ板を置いたら、犬の毛とやっちゃいけないティッシュで拭いたことによって無数の小さいゴミが一面に付くっていうカオスな状況。これを泣きながら乗り越えて撮影した比較画像です。こう見ると類似点も多くありますね。
黒バック2枚目のタンクの裏側。ここが塞がっているかどうかがRDTAとしての大きなポイントかと思います。K-loudの場合にはどうしてもSSのキャップを引き抜いたときに、かなりの確率でリキッドがヌルヌルしているのですが、『In'Sane』の場合は底が密閉されているのでヌルヌルになることが抑えられています。(そしてトップ側もキャップをきっちり締めることで密閉されます)
デッキの幅も重要で、K-LoudはMTLとして非常に濃く美味しいアトマイザーですのでこの幅で問題ないのですが、クーラントフルーツ系のリキッドをグアっと肺吸いするというような使い方は想定されていませんでした。『In'Sane』では、HurricaneやNarDaあたりからでしょうか、シングルでがっつり肺吸いをするという使い方を想定したアトマイザーが流行りだして現在に至るトレンドにマッチしています。MTLとはい言い辛いですが、一番狭い肺吸いのギリギリ程度まで対応しているイメージです。そういう意味では、K-Loudと製品の方向が差別化されています。
ビルドデッキです。
非常にシンプル、かつスクリューもある程度のサイズがあってセットアップは比較的簡単です、もちろんシングルコイルでのセットアップになります。下の金属面に大きく空いている開口部がエアフローのように見えますが、実はこれは肉抜き兼エアーの最大取り込みだけで、エアー調節には関係ありません。赤いゴムの部分が直接コイル下でのエアフローの調節になります。
この赤いゴムパーツはタンク上についているものと共通ですが、サイズとしては2種類が付属しています。これを差し替える、あるは使用しないことで3種類のエアフロー調節が可能です。
Atheaから推奨されている使い方は以下の通りです。
セットアップその1
フレーバー重視 … 一番狭いエアフローパーツにして2.5mm+のコイルを使用
セットアップその2
フレーバー/クラウドバランス … 大きいサイズのエアフローパーツを使用して3mm+のコイルを使用
セットアップその3
クラウド重視 … エアフローパーツを外して3.5mm+のコイルを使用
3タイプともに試してみましたが、私が普段Picoなどの割りときつめの肺吸いを好みとしているからか、一番狭いエアフローパーツを使ってのMTLに近いギリギリの肺吸いが好みでした。イメージ的にはドリッパーで1.5mm~2mm程度のエアフローのイメージです。
デッキをもう少し分解します。
スナップリングプライヤーなどを使って、ベース部分のスレッドを回して外します。510ピンを抜いて全分解が可能です。しっかりクリーニングも可能ですね。スクリュー付近で相当細かくフライスで削られいるのが見えます。これは多少お高いのも仕方ないかなと思います。
ただし分解は自己責任で。ボトムには大きな黒いインスレーターがあるので安心ですが、写真にある白いインスレーターがデッキ上で唯一絶縁を確保していますので、もし分解したときには失くさないようにして、組立時に必ず絶縁を確認してください。これが傷ついたり割れていた場合には交換するか使用にはリスクが伴いますので止めておきましょう。
■セットアップ
上でも触れましたが、個人的には一番狭いエアフローによるフレーバー重視が好みでした。2.5mm芯を26gで隙間を開けて巻いています。2mmという手もありそうに思いますが、ウィック量を考えると2.5mm未満だとタンクの開放部を埋めるのが大変そうです。最低限2.5mmと思えばよいかと思います。


先にドライバーンしておいてください。コイルを設置するときは、やや高めにします。タンクを一度装着してタンクの開口部の一番下あたりに来るように高さを調整します。
タンクを外してコットンを入れたら、ある程度コットンを多めにセットアップします。セットアップが終わった時に、コイルからジュースまでの距離が短く、デッキの横幅も狭くてジュースが下ではなく横から染みてくる構造すので、通常のRTAのよりはジュースをせき止めてあげられる量がないと供給過多になる可能性があります。
コットンの足の長さは上の写真のように、本体の外周に届くかもう少し短いくらいでよいかと思います。

タンクをはめたら、細いドライバーやコットン用のピックなどを使ってウィックをタンク内に押し込みます。うまいこと整形できればジュースの補充穴からリキッドを入れるだけです。
■まとめ
『In'Sane』の吸い心地は、RDTAらしくドリッパーのような味の濃さをダイレクトに感じられるアトマイザーです。その秘密は供給のよさとチャンバーのサイズ、そしてドリップチップからコイルまでの距離がちょうどよく、思ったよりも大胆に使えるアトマイザーながら味の濃さがしっかり追求できる製品です。
腐ってもAtheaというキーワードは大変失礼なのかも知れませんが、あのIn'Axを世にに出したAtheaの製品というだけで脊髄反射で購入を決めた方も多いかと思います。私もその一人です。正直なかなかデッキの構造が公開されなかったことと、RDTAはGenesis時代からRDTAなのでよいとして、初のコットンデッキということで多少の不安はありました。届いて実際に使ってみると、やはりAtheaクオリティなのだなぁと実感します。味わいはピカイチのレベルです。そしてGenesisと異なり、セットアップしやすい構造のデッキは、恐らく誰が巻いても美味しくいただけるんじゃないかと確信させてくれる出来栄えです。
正直、買いです。後悔することなく使える製品のひとつだと私は信じています。


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